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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第10章 『次の日の朝』

完成したスタイルを、目の前の大きな鏡で
薫が仁に確認をする様に声を掛けて来て。

仁の両肩に薫が手を添えて
肩を持って来て、顔を近付けて来る。

「らしいでしょ?……後は…、
仁が…それらしく…振舞えば…大丈夫だよ。
だって……僕がセットしたんだもん…。
うん、ほら、完璧でしょ?間違いないね」

『演技…は…、してたから…大丈夫…。
無個性だから、何にでも…なりきれるし…。
あ、そうだ…薫……、今度…お前にカット…
して貰いたい…の…連れて来るから…頼むわ。
ちゃんと…金払うし…客として…。
そっちは僕と違って、元が良いから…
凄い…お前の手で…良くなると思う…。
サンキュ、薫。世話になったな…。
よし、貴虎、後は、頼むわ』

貴虎も…顔立ちは…
ビジュアル系バンドのボーカルみたいだが
かなり華奢な体つきをしていて、
薫の様に中性的ではないが
独特な危うげのある…色気を発している男で。

高校の入学式の日に男に
しつこく声を掛けられて絡まれてるのを、
ついつい…助けなくていいのに…
柏葉を助けた時の様に貴虎の事を
助けてしまってからすっかり懐いてしまっている。

名前は虎だが猫の様な…そんな奴だ。

薫のサロンを後にして、

貴虎のアルファードに乗り込んだ。

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