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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第12章 『真奈美と仁』
萌花が…亡くなった後…、
一人には広すぎる萌花との思い出しかない
萌花と一緒に住んでいた家は売りに出した。
まだ…新しい家だったから…、
僕らの家にはすぐに買い手がついて。
2人で住んでいたあの家を売って、そのお金で
探偵事務所から近い…
このアパートを年払いで借りてる。
萌花が死んで…すぐに…、
亡くなった萌花の代りにする様にして。
萌花…に似た…雰囲気の女性と…、
ここで同棲してた時期もあった…な。
でも…一緒に暮す様になって、
付き合ってた時には似てると思って居た。
萌花に似たその女性の、
萌花と違う場所ばかりが
目に付く様になってしまった。
それで…気が付いた…。
僕はその人の萌花に…似てる…場所だけ見て。
その人の事を好きになってる…、
つもりになってたんだなって。
そうする事で…、別の誰かを抱いて
萌花との記憶を自分の中で薄めてしまって
萌花を、を忘れてしまおうとして…置いて。
結局の所…、
萌花の事しか…自分は考えて無くて。
相手の女性の事なんて…、見えている様で
見てるつもりになって居ただけで、
結局僕は、何も…見えて無かったんだな…って。