この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第13章 『夫婦円満本舗の慰安旅行』
ああ…これ…、あれだな…、
もうついでに不満を
僕に全部…ぶつけて来るやつだな…。
こっちは助けた方なのだが
感謝されるどころか…ダメ出しされている。
『あのさ、ここでこうしてても
痴話喧嘩にしか見えないだろうし、
もう…時間も12時前だしさ、
ここは他のお客さんのご迷惑になるし…
一旦…僕らの部屋に…戻ろうよ…。ね?』
むううっ…真奈美が、仁の言葉に
口を尖らせながらもぎゅううと
こっちの浴衣を掴んだまま
真奈美は、離れそうにないので。
自分の浴衣に真奈美を引っ付けたままで、
廊下を元来た方へ向かって歩き始めると。
仁が歩く速度で、真奈美も移動し始めて。
こっちを…狡いと言ったのは…、
さっき自分が言った事を…
僕が聞かなかった振りをしたからで。
だから…、そんな顔を…
させてしまってるんだろうけど。
エレベーターに乗り込んで、
部屋のある6階のボタンを押すと。
仁と真奈美を乗せた、エレベーターのドアが閉まる。
『僕が…狡い男なのも、
酷い男なのも認めるよ、事実だしね』
これだけ言えば…伝わるだろうと。
エレベーターの密室の中でそれだけ言った。
真奈美ちゃんからの僕の言葉への返事はない。