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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第3章 『中折れの天野様夫婦』
「茂木さん…お陰で…気が付かされたんです。
自分が……物分かりのいい男のふりをして。
美弥の気持ちも、美弥自身も
何も…見えて、無くて。
何も、分かって…居なかった…と…。
美弥は…、こんなにも…俺を
…愛して…くれていたのに…。
俺は…与えられていた…、待っていてくれていた
彼女から目を逸らして、背中を向けて…
向き合う…努力すらも…、その言葉に
まともに耳を傾けようともしていなかった…」
聡が…テーブルの上に押し付けていた額を
更に食い込ませる様に押し付けていて。
真奈美は痛そうだなと思いながらそれを見ていた。
「貴方…、止めて…?もう…いいの…ッ
もう…いいから、聡…、もう…いいの…ッ」
『顔、上げて貰えますか?ご主人。
奥様の顔を…見て貰えますか?』
そう茂木が聡に声を掛けて来て、
聡が机に押し付けたままにしてた顔を上げた。
その瞳に涙を溜めて、心配そうに
こちらを見ている美弥と目が合って。
ギュウウと美弥に抱き締められてしまった。
『あ~、真奈美ちゃん…、
あっちの仮眠室は用意できてる?』
目の前で抱き合ったままの
天野夫婦を横目にしながら、
茂木が真奈美に確認をこそっと取って来て。
「はい、勿論…。バッチリっ
使用できますよ?ご案内しちゃいますか?」