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第17章 『仁さんの退院と前嶋からの依頼』

仁が真奈美の方を見ながら、
度の入ってない伊達メガネを出して。
スッと伊達メガネをかけて見せる。

『オプションある方が良いい？』

「仁さん…そう言う恰好してたら、
しつこい…ドアに足挟んで来る
押し売りの悪徳セールスの人みたいです…」

『高い布団とか買わせるやつ？
それとも効果のない…
ダイエットサプリの
ネズミ講に誘うタイプの方？
まぁどうせ…似合ってないのは
取って付けた衣裳だから…仕方ないけどね』

「そうじゃなかったら…、
えっちなビデオにありがちなやつの
セールスマンを装って家に、上がり込んで
奥さんを美味しく…頂いちゃって
ちゃっかり中出ししちゃう…人みたいです…」

『まぁ…そんな設定の…AVになら、
僕も…昔…出演した事がある…けどね…』

真奈美に見送られて、夫婦円満本舗を
嘘くさいエセサラリーマン風の
装いをして仁が後にする。

そのまま車を走らせると、
遊亀正樹の妻の勤務先を仁は
来客を装って訪問した。

事の経緯を…軽く説明すると。

遊亀正樹の妻の、遊亀美月は…。
一瞬その表情を曇らせはしたが
自分の夫の不貞を突き付けられたのに。
何故か落ち着いていて、
そう驚いた様子ではなかった。