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淫魔の宿へようこそ
第4章 悪魔のお客様達
晩餐会の日になりました。
会場はホテル一階のホールを抜けたレストランです。
お客様はそのままホテルに一泊するらしく、浴場や寝室もエビル達によりさらに磨き上げられました。
ニコルは朝から厨房で大わらわ。
それでも幾人かのエビルが手伝ってくれましたし、マエロは何というか。
「マ、マエロなの……?」
彼の前に立ったニコルは呆然と彼を見上げました。
「フッ…当然です。 犬の姿で給仕は勤まらないでしょう」
それは逞しくも背の高い男性でした。
肌の色が浅黒く、白い髪は短く刈られています。
野性的な印象の黒い瞳……で、犬の面影などどこにもありません。
「じゃあ最初ドルードさんに会った時は何で犬だったの? 人だったら助けを呼ぶなり、マエロが作るなり……?」
「私の力はドルード様から賜ったものですから、彼が弱っていては話せない犬のまんまなのですよ。 それに私の料理は何というか、ドルード様のお気に召さないらしく」
言葉の最後の辺りをごにょごにょぼかし……
ビシッと黒のスーツを着こなしたマエロがテーブルにナプキンやワイングラスをセッティングしていきます。
「まあ…ね。 いい加減、色々見慣れたけど」
きっともう何が起こっても驚くまい。 ニコルはポリポリ頭を掻きながら仕事に戻っていきました。
晩餐会の前にはドルードとマエロによる試食です。
厨房の傍のテーブルの席に着いた二人に、ニコルが一つ一つ料理を提供していきました。
「えと……こちら前菜は貝とアスパラガスのリゾット添えです。 肉料理とは言われましたが、私の実家の食堂は魚介が看板メニューだったので」