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第2章 幸せは突然

（クリスマスなんてなくなってしまえばいい。）

つい一時間ほど前まで、楽しみで仕方なかった日が最悪な１日へと変わってしまった。

『ごめん。良子。ほんとごめん..』

隣の女と平謝りする男に、私は返す言葉もなかった。

駅の広場で行き交うカップルを眺める。
側においたままのプレゼントが、何だか余計にむなしさを煽る。
私はきっとこの世界で、今一番不幸な女だと思った。

さっき別れた..というか一方的に振られた元彼とは三年付き合った。
もう30手前の私は、きっと彼と結婚すると思っていた。

確かにそんな話はよくはぐらかされていたのに、どうしようもなく惚れ込んでいた私は気づかなかった。

まだ仕事が忙しいから、落ち着いてから..母親から電話がきても、自分に言い聞かせるように宥めた。

それが、半年前から同じ会社の女と出来ていたと知ったのは１ヶ月前。

たまたま携帯を見てしまった時だった。