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dear大切な人~クリスマスの奇跡~
第3章 思い出にはいつもキミが

娘がクリスマスは友達の所に泊まると、家を出てから、私は一人家の掃除をしていた。

(ほんと、昔はみんなで過ごすって決めてたのに。)

実際に友達の所なのか調べたくなる気持ちが湧く。

(いっそ電話できたら..)

そんな考えを振り払うように、私は窓を拭いた。

もしかしたら男の所かもしれない、と思うと、不安と少しの羨望が混じる。

結婚20年を迎えた私は、高2の長女と、5歳になる長男を持つ専業主婦だ。

昔は絶対専業主婦なんてイヤだと思っていたのに、気づけば家庭の仕事にどっぷり浸かっていた。

鏡を見ても、娘のような綺麗な肌はなく、育児に疲れたヨレた顔が写る。
母親としては、娘が幸せなのは嬉しい。
けど女として、老いていく自分に比べて生き生きしている彼女は少し羨ましかった。
だから、たまに自分でもイヤになる程嫌みをいったり、娘を縛り付けようとしてしまう。

「ままー!電車ぁ~!」

拭いたばかりの窓に長男が電車の模型を走らせる。
一息ついて、顔が緩んだ。

「あ、パパにケーキ頼もうかぁ友君。」

「うん!ケーキ!」

私が言うと、ぶんぶん頷いて笑った。

携帯をポケットから出し、メールを送る。
ー今日、ケーキ買ってきてくれる?友君がショートケーキがいいって。ー
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