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ソルティビッチ
第1章 ソルティビッチ…
 6

「あぁわたしも、もう男なんかいいからさぁ…
 このバイブレーターでいいかなぁ…」
 絶頂感の余韻に浸っている彩ちゃんの姿を眺めながら、思わずそう呟いてしまう。


「ダメよ、悠里さんがそんな事言ったらぁ」
 すると彩ちゃんは気怠るそうにそう言ってきた。

「だってぇ、こうして彩ちゃんと寝ていた方が気楽だしさぁ」

「え、嘘よ、ウソ…
 本当はわたしなんかじゃぁ満足してないくせにぃ…」
 彩ちゃんはタバコに火を点けながらそう呟く。
 
「う、嘘じゃ、ないもん…」

「ウソ…わたしには分かってますよぉ」

 本当は嘘であった…

「え…」

「まぁ確かにぃ、軽くはイッてはいますけどぉ…
 あの低気圧による疼きは全然治まってはいないくせにぃ…」

 実はその通りなのだ…

 確かにセックスとしての快感の絶頂感はある程度は得てはいるのだが…
 低気圧による自律神経の疼きや騒めきは、全くといっていい程に治まってはいなかったのである。

「あぁ…ぇ…う、うぅん…」

「わたしには全部お見通しぃ、分かってるんですよぉ…」

「え…な、なんで?」
 
 なんで分かるのか?…

「それはぁ、悠里さんの目…
 目を見ればぁ、分かるんですよぉ…」

「え、め、目を?…」

「あ、うん、はい…」
 
 どれだけの付き合いだと思ってるんですかぁ…

 確かにわたしと彩ちゃんの関係は空白の期間はあるのだが、高校時代からかれこれ15年近い。

 ただその時はただの先輩後輩の関係で終わったのだが…
 大学を卒業した二年後に、偶然入ったバーに彩ちゃんがバーテンダーをしていて再会したのだ。

 それからそのバーに常連客として通い、わたしが酔い潰れて彩ちゃんに介抱してもらったのがきっかけで…
 こうした関係を持つようになったのであった。

 そしてその後、わたしのマンションの向かいのビルの空き店舗にバーを独立開業させ、こんな関係を続けている…

 もちろんわたし達二人はバイセクシャルで、男女両方を愛せるのではあるのだが…
 どちらかといえば彩ちゃんの方がレズビアン嗜好が強いのだ。

 そしてわたしのレズビアン嗜好の対象は基本的には彩ちゃんのみであり…
 ほぼ他の女性には性的嗜好は覚えない。

 だから彩ちゃんは…

『わたしには分かるんですよぉ…』

 と、まで、言い切れるのであった。




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