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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第4章 序章~最初の「死」~
離れはふた間続きだ。若夫婦は最奥のひと部屋を二人で共有していた。元はハソンの室だったものだ。室の片隅に二段の飾り棚がある。下段の扉を開くと、すぐに愛らしい兎は見つかった。ホッと息をつき、文鎮を袖に入れる。
長居は無用と、また離れを出て抜け穴を目指した。そこで、天の加護も途切れたのかもしれない。
金切り声が響き渡った。雪鈴はハッとして振り返った。視線の先に、まだ幼い赤ら顔の下働きがいた。