この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第4章 序章~最初の「死」~

掃除の途中なのか、箒を握りしめている。
ーだっ、誰か、若奥さまが。
雪鈴は弾かれたように走り出した。下働きの声に、屋敷が俄に騒然としたのにも頓着しなかった。
自分は馬鹿だと思った。何故、捕まることを承知していながら、わざわざ婚家に戻ったのか? 走りながら幾度も袖に手を押し当て、良人の形見の手触りを確かめた。
不思議なことに、義両親は良人のために死ねと迫っているのに、雪鈴自身は亡くなった良人が自分の死を望んでいるとは思えないのだった。
ーだっ、誰か、若奥さまが。
雪鈴は弾かれたように走り出した。下働きの声に、屋敷が俄に騒然としたのにも頓着しなかった。
自分は馬鹿だと思った。何故、捕まることを承知していながら、わざわざ婚家に戻ったのか? 走りながら幾度も袖に手を押し当て、良人の形見の手触りを確かめた。
不思議なことに、義両親は良人のために死ねと迫っているのに、雪鈴自身は亡くなった良人が自分の死を望んでいるとは思えないのだった。

