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第37章 秋桜（コスモス）の夢

　賛もまた泣き笑いの表情で言った。



「そんなことは判ってる」



「邸下の室となることもー側室にさえなれません、お子を産むこともできない」



　しまいは涙混じりの声になった。



　この瞬間、賛は悟った。自惚れではなく、桂花もまた賛を好ましく思ってくれていると。慎ましい彼のことだから、自分が男であるのを自覚し、想いを口にしないのだ。彼の態度には口で語るより深い想いがほの見えた。