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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
女は応えず、淡い微笑を浮かべた。
その時、彼は初めて地面に魚籠や売り物の魚が散乱しているのに遅まきながら気付いた。昨日、父とボクスが苦労して獲った魚はほぼ無駄になってしまった。
思わず力尽きて、がっくりと地面に膝をついた。父と母にどのように言えば良いのかすら判らない。何という失態だろう。
と、女が明るい声音で言った。
「もし良かったら、この魚を私に買わせて貰えないかしら」
最初、ボクスは彼女の言葉の意味が計りかね、惚(ほう)けたように彼女を見た。彼女は物わかりの悪い子どもに言い聞かせるかのように繰り返す。
その時、彼は初めて地面に魚籠や売り物の魚が散乱しているのに遅まきながら気付いた。昨日、父とボクスが苦労して獲った魚はほぼ無駄になってしまった。
思わず力尽きて、がっくりと地面に膝をついた。父と母にどのように言えば良いのかすら判らない。何という失態だろう。
と、女が明るい声音で言った。
「もし良かったら、この魚を私に買わせて貰えないかしら」
最初、ボクスは彼女の言葉の意味が計りかね、惚(ほう)けたように彼女を見た。彼女は物わかりの悪い子どもに言い聞かせるかのように繰り返す。