この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
生まれて十六年、初めて〝死〟を意識した瞬間だったのだ。
「大丈夫?」
若い女が彼の顔を心配そうに見上げている。彼女は震えるボクスの二つの拳を小さな手で包み込み、しきりに撫でていた。
彼女の手はとてもやわからで、ずっと撫でて欲しいとさえ思った。
ボクスはようよう頷き、呟いた。
「君が教えてくれたのか」
ボクスが辻を渡ろうとしたあの時、若い女が〝危ない〟と叫んで危急を知らせてくれた。あのひと声がなければ、ボクスは今頃冗談でなく荷馬車にはねられていたろう。いわば、彼女は生命の恩人だ。
「大丈夫?」
若い女が彼の顔を心配そうに見上げている。彼女は震えるボクスの二つの拳を小さな手で包み込み、しきりに撫でていた。
彼女の手はとてもやわからで、ずっと撫でて欲しいとさえ思った。
ボクスはようよう頷き、呟いた。
「君が教えてくれたのか」
ボクスが辻を渡ろうとしたあの時、若い女が〝危ない〟と叫んで危急を知らせてくれた。あのひと声がなければ、ボクスは今頃冗談でなく荷馬車にはねられていたろう。いわば、彼女は生命の恩人だ。