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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
彼女は少し思案げに眉を寄せた。そんな表情をすると、臈長けた美貌が幼く見える。ボクスは知らず彼女の子どもっぽい横顔に見惚れた。
「ごめんなさい。もしあなたさえ良ければ、この魚を私に買い取らせて下さい」
今度はボクスも流石に少しは冷静に考えられるようになっていた。要するに、何の縁もゆかりもない彼女が俺が稼ぐはずだった魚代を弁償してくれるというのか。
ボクスはゆるゆると首を振る。
「君の申し出はありがたいんだが、遠慮しておく。それと、俺の方こそ済まない。君は生命の恩人で、その上、親切に申し出てくれたのに怒鳴ったりして」
「ごめんなさい。もしあなたさえ良ければ、この魚を私に買い取らせて下さい」
今度はボクスも流石に少しは冷静に考えられるようになっていた。要するに、何の縁もゆかりもない彼女が俺が稼ぐはずだった魚代を弁償してくれるというのか。
ボクスはゆるゆると首を振る。
「君の申し出はありがたいんだが、遠慮しておく。それと、俺の方こそ済まない。君は生命の恩人で、その上、親切に申し出てくれたのに怒鳴ったりして」