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第43章 傷痕

　女が笑った。



「良いのよ、気にしないで。それより、魚を拾いましょう」



　彼女が先に散らばった魚を拾い始め、ボクスは慌てて自分も魚を集め始めた。



　果たして、魚は泥だらけで到底売り物にはならない有り様だった。ボクスは最後まで渋ったのだが、彼女は結局、彼に巾着ごと金子を押しつけるようにして行ってしまった。



　チャン・ミスは、こうしてボクスの前に颯爽と現れたのだ。彼女の父は隣町でも名を知られた豪商だった。これをきっかけに、二人は再々、逢うようになった。大概は隣町の大通りを二人寄り添って歩く。