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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
かといって、あの女を無理に連れ戻したところで、何度でも同じことの繰り返しだ。ミスは飽きっぽい女でもあるから、今の男にも飽きれば、また別の男を銜え込むだろう。
そんな女と共に暮らすことなど、土台不可能だし、かえってセシルが不幸になる。
ボクスは板の間の片隅で薄い夜具に包まれ、無心に眠る我が子を見て言った。
ボクスの棲まいは、ミスの生まれ育った邸の厨(くりや)ほどの広さしかない。板の間と煮炊きのできる土間があるきりだ。
「母さん、ミスとはもう終わったんだ。諦めてくれ」
たとえ赤児で理解できないといえども、セシルにとって実の母であるミスの悪口は口にしたくない。ボクスは言葉少なに話を終えると、赤児からそっと眼を背けた。
そんな女と共に暮らすことなど、土台不可能だし、かえってセシルが不幸になる。
ボクスは板の間の片隅で薄い夜具に包まれ、無心に眠る我が子を見て言った。
ボクスの棲まいは、ミスの生まれ育った邸の厨(くりや)ほどの広さしかない。板の間と煮炊きのできる土間があるきりだ。
「母さん、ミスとはもう終わったんだ。諦めてくれ」
たとえ赤児で理解できないといえども、セシルにとって実の母であるミスの悪口は口にしたくない。ボクスは言葉少なに話を終えると、赤児からそっと眼を背けた。