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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
罪深いことはではあるけれど、ボクスは次第にセシルを見るのが辛くなっていた。娘は妻によく似た美しい面差しをしていた。まだ生後まもなくでこれだけ目鼻立ちが整っているのだから、成長すればさぞかし男の眼を惹く娘になるだろう。
母を知らずに育つセシルが愛しい反面、自分をこれ以上ないほどに手ひどく裏切った妻生き写しの娘。ボクスにとって幼い娘の存在は日ごとに重くのしかかっていた。
そんなある日、母が早朝に出かけたきり、夕刻まで戻らなかった。しかも、どうやら母は赤児も連れていったようである。父に続いて母と娘まで何かあったのかと心配になり、ボクスがとりあえず心当たりを探そうと家を出ようとしたときだった。
母を知らずに育つセシルが愛しい反面、自分をこれ以上ないほどに手ひどく裏切った妻生き写しの娘。ボクスにとって幼い娘の存在は日ごとに重くのしかかっていた。
そんなある日、母が早朝に出かけたきり、夕刻まで戻らなかった。しかも、どうやら母は赤児も連れていったようである。父に続いて母と娘まで何かあったのかと心配になり、ボクスがとりあえず心当たりを探そうと家を出ようとしたときだった。