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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
ボクスは何故か、母の顔がまもとに見返せなかった。
その夜は母手製のご馳走を食べ、安酒に酔い、心地良く眠りについたはずーだった。
翌朝、ボクスはいつもと変わらず家を出た。
「とと、とと」
ちょこちょこと追いかけてくるセシルをソンシルが抱き上げる。
いつもならボクスは娘を抱き取り、ほおずりする。髭が当たって、くすぐったいのか、セシルが声を上げてキャッキャと笑い声を上げるのも微笑ましく可愛かった。いつも何ら変わりない朝の風景だった。
しかし、その朝、ボクスは娘を抱こうとはせず、足早に家を出ていった。そんな倅をソンシルはどこか不安げに見送っていたのだ。
その夜は母手製のご馳走を食べ、安酒に酔い、心地良く眠りについたはずーだった。
翌朝、ボクスはいつもと変わらず家を出た。
「とと、とと」
ちょこちょこと追いかけてくるセシルをソンシルが抱き上げる。
いつもならボクスは娘を抱き取り、ほおずりする。髭が当たって、くすぐったいのか、セシルが声を上げてキャッキャと笑い声を上げるのも微笑ましく可愛かった。いつも何ら変わりない朝の風景だった。
しかし、その朝、ボクスは娘を抱こうとはせず、足早に家を出ていった。そんな倅をソンシルはどこか不安げに見送っていたのだ。