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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
 そうやって、ボクスは次第に重要な仕事をも任されるようになっていった。チェソクがボクスの事情を詮索しないのと同様、ボクスもまた彼の身許に深入りはしない。いつしか互いの暗黙の条件のようになりつつあった。



 しかし、半年ほど経った夜、珍しくチェソクが酒を飲まないかと誘ってきた。


 二人は差しつ差されつしながら、黙々と料理をつついた。男二人所帯なので、料理は交代で行う。ボクスもチェソクも腕はなかなかのものだ。



 蒸し鶏をつつきながら、チェソクが初めて身の上を語った。かつて彼には母と妻、二人の子どもがいた。子どもは息子が二人。



「生きていれば、上の倅がお前と同じ歳だ」



 チェソクは遠い昔を懐かしむ瞳で語った。
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