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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第45章 新たな日々
ボクスは上半身裸になり、ケトンが左腕上部をまずは水洗いした。消毒して包帯を丁寧に巻いてゆく。同様に右手のひらも水で洗い消毒して幾重にも包帯を巻いた。
「良かったら、これを使ってみて」
ボクスが差し出したのは、母特製の軟膏だ。ハクビ村の女たちが代々、村にしか育たない貴重な薬草を摘み取りすりつぶして拵えた特製の軟膏だ。
「俺の生まれ故郷の村に伝わる秘伝の塗り薬ですよ。消毒薬にもなるし、腰痛や打ち身にも効く。軽いものなら毒消し効果もある」
村を出て七年になる。赤児だった娘セシルも大きくなったろう。頑是無い娘を捨てた薄情な父親だった。今更、父と名乗る資格すらない。老いた母はどうしているだろうか。働き過ぎて身体を壊してなければ良いが。
「良かったら、これを使ってみて」
ボクスが差し出したのは、母特製の軟膏だ。ハクビ村の女たちが代々、村にしか育たない貴重な薬草を摘み取りすりつぶして拵えた特製の軟膏だ。
「俺の生まれ故郷の村に伝わる秘伝の塗り薬ですよ。消毒薬にもなるし、腰痛や打ち身にも効く。軽いものなら毒消し効果もある」
村を出て七年になる。赤児だった娘セシルも大きくなったろう。頑是無い娘を捨てた薄情な父親だった。今更、父と名乗る資格すらない。老いた母はどうしているだろうか。働き過ぎて身体を壊してなければ良いが。