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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第45章 新たな日々
いや、恐らく我が身はこうして捨てた家族の心配をすることさえ許されないはずだ。
七年前、村を出たあの朝をまざまざと思い出す。母は何かしらの勘が働いたのか、随分と不安げな面持ちをしていた。
出てゆきかけたボクスを呼び止め、母が差し出した手のひらには、この軟膏が載っていた。
ーそういえば、お守り代わりの軟膏が無くなっちまってるって聞いてたから、新しいのを作って入れておいたよ。
漁に出る時、母は父とボクスにこの軟膏を渡してくれた。
あの朝、母はボクスの身勝手な決意を何とはなしにかぎ取っていたのだろうか。
七年前、村を出たあの朝をまざまざと思い出す。母は何かしらの勘が働いたのか、随分と不安げな面持ちをしていた。
出てゆきかけたボクスを呼び止め、母が差し出した手のひらには、この軟膏が載っていた。
ーそういえば、お守り代わりの軟膏が無くなっちまってるって聞いてたから、新しいのを作って入れておいたよ。
漁に出る時、母は父とボクスにこの軟膏を渡してくれた。
あの朝、母はボクスの身勝手な決意を何とはなしにかぎ取っていたのだろうか。