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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第45章 新たな日々
ケトンは眼に涙を浮かべていた。
「嫌よ、お父さま。ご自分から諦めたようなことをおっしゃらないで。王先生も養生次第ではまだ見込みはあると言われているのだから」
ギルソンは数年前から心ノ臓を患っていた。その持病がここ一年ほどの間に急速に悪化し、事実、医者からは余命宣告されている。そのことはギルソン本人と娘のケトン、更には沈執事、長年、ギルソンの片腕を務めてきた商団の副行首しか知らない極秘事項だ。