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背徳のキス
第5章 4話目
※シェリーの弟、ルルト視点
”お姉ちゃん....元気かな“
両手にミル貝を抱えて、僕は人魚の宮殿から離れると、姉のシェリーが棲む洞窟へと向かった。
顔を見るのは5日ぶりだ。本当は毎日でも会いに行きたいけど、”宮殿外はジェドさんの結界が行き届いていない”から、怖い深海生物に遭遇すれば一溜まりも無い。最悪命を落とす事もある。
寂しいけど、命を奪われてお姉ちゃんに二度と会えなくなる方がもっと嫌だ。
だから深海のギャング達に目をつけられないように気をつけながら、5日に1回、お姉ちゃんに会いに行っている。
それでもお姉ちゃんには心配そうな顔をされる。直接言われた事は無いけれど、「命の危険を冒してまで私に会いに来なくていい」って、寡黙なお姉ちゃんの顔にいつも書いてあるんだ。
でも僕の知らない所で、お姉ちゃんの安否が不明になるなんて事は絶対に嫌だから、遠慮せずに今日もお姉ちゃんの様子を見に行こうかなって思っていたところなんだ。
「!お姉ちゃーん!遊びに来たよ〜!」
見慣れた洞窟が見えてきた所で、ルルトは声を張り上げて叫んだ。
だが、レヴァイアタンが訪れた時と同様に返事が無い。
「.........!ルルト!」
「あ!お姉ちゃん」
「早く洞窟の中に入って。危ないから。」
洞窟の奥の方でドッタンバッタン何やら騒音がしたと思えば、次の瞬間、ひょっこりとシェリーは顔を覗かせた。
「分かった。お邪魔しまーす。」
姉の顔を見れた事が嬉しくて思わず顔を綻ばせたルルトは、“何故か常時薄く防御結果が貼られている”洞窟の中へと入っていく。