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背徳のキス
第4章 3話目
「あの....お名前なんていうんですか?」
殆どのホタテ貝がレヴァイアタンの胃袋に収まり、残り僅かとなった頃、シェリーは彼に名前を尋ねてきたのだった。
「レヴィだよ。君は?」
「シェリーです。レヴィさん、多分年上ですよね?」
「君、いくつなの?」
「20です。レヴィさんは?」
「28」
「やっぱ年上だったんですね。敬語崩さなくて良かった。」
「敬語?別にいいよ崩しても。僕気にしないから。」
「え?あ、ありがとう....。えっと、レヴィさんって人魚の宮殿に住んでいるの?」
「.............。」
”まずいな、帰るタイミング逃した上に、めちゃくちゃ答え辛い質問来た。っていうか自惚れじゃなければこの子、僕の事不審に思いながらも、興味はあるんだな。
まあ僕が訳わからない珍事を起こしすぎて変な好奇心湧いちゃったのかな....。“
「....宮殿には住んでないね。」
「場所的にはここの洞窟からも遠い?」
「.....そうだね。めっちゃ遠いよ。」
「…そうなんだ、残念。私からも遊びに行けたらいいなぁって思ってたんだけど。」
「は??遊び??駄目駄目駄目絶対駄目!
危険だから!」
色んな意味で彼女の発言に動揺してしまい、息継ぎ無しに性急に返答してしまったが、次の瞬間「しまった」と後悔する。今の発言でまた怪しさがプラスされてしまったからだ。
「.....そんな危険な場所に住んでいるの?」
「そ、そうそう。そうなんだよ。だから僕から会いに行くから、僕の住処とかさ全然気にしなくていいから。じゃあ急用思い出したんで帰るね。絵、ありがとう。」
やはり前回と同じく居心地が悪くなってしまった僕は、早口で一方的に言い放つと、何か言いたげな彼女に背を向けて立ち去った。
彼女の前から逃げるように立ち去るのは、もうこれで2回目だ。2度あることは3度あるというが、流石に3度目は普通にお別れをしたいものだ。その為にも話術を磨いて巧妙な嘘つきにならなければならない。悪魔とバレるのは御免だ。