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ありがちな、ただの恋
第1章 ありがちな、ただの恋
彼女が先に出て時間を置いて僕も出る。そうしたのは何となくその方が良いと思ったから。彼女はカラオケボックスのガランとしたロビーのソファで僕を待っていた。開口一番に、
「響花ったらね。一週間前に振られたんだよ」
なぜか僕を責めるような口調で言った。
「そうなんだ…」
「付き合っていたカレシに二股かけられてさ。あげくの果てに捨てられちゃって。だから荒れてるの」
「…そうか。でも何でそれを僕に?」
「わからないの?」
「えっ。何を…」
「響花はきみが好きなんだよ」
「え…」
「ずっと前から。気付かなかったの?」
「全然。知らなかった」
「鈍いなあ」
「あっと。でもさ。ずっと前からって、カレシがいたんだよね」
矛盾している。たとえ振られたにせよ、付き合っていた男がいたのだから、ずっと前から想われていたなんて変だ。しかしそんなもっともな疑問は、
「女ゴコロはフクザツなんだよ」
その一言で一蹴されてしまった。
「響花ったらね。一週間前に振られたんだよ」
なぜか僕を責めるような口調で言った。
「そうなんだ…」
「付き合っていたカレシに二股かけられてさ。あげくの果てに捨てられちゃって。だから荒れてるの」
「…そうか。でも何でそれを僕に?」
「わからないの?」
「えっ。何を…」
「響花はきみが好きなんだよ」
「え…」
「ずっと前から。気付かなかったの?」
「全然。知らなかった」
「鈍いなあ」
「あっと。でもさ。ずっと前からって、カレシがいたんだよね」
矛盾している。たとえ振られたにせよ、付き合っていた男がいたのだから、ずっと前から想われていたなんて変だ。しかしそんなもっともな疑問は、
「女ゴコロはフクザツなんだよ」
その一言で一蹴されてしまった。