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~疼き~
第13章 エピローグ
思い出はゆらゆらと揺れる遠い蜃気楼の中にある。
夏海はこの思い出と共に新たに歩む事にした。

決して蒼を忘れ去った訳では無い。
二人は柔らかなベッドの中に居た。

「夏海…」
「なに?蓮…」

蓮は夏海の柔らかな頬に手を当てて話し出す。
何故こんなにもこの年齢の女性の身体は柔らかなのだろうと思いながら。

「俺と一緒に暮らすことになって後悔してない?」

穏やかな口調の中にも微かな緊張を伴ってそう夏海に話す。

「後悔なんてしてないよ…」

夏海はそう言うと笑って見せる。
二人が暮らし始めて半年が経った。

「夏海、もうそろそろ籍だけでも入れないか?」

突然の話で夏海は驚いてしまった。
また、蒼の時と同じように同棲だけで終わるのかと思っていたからだ。

「結婚式とかはしたいか?」

蓮は気を使ってそう聞いてくる。
夏海は別に結婚式には拘っていなかった。

「別にしなくてもいいよ…でも、結婚写真は撮りたい…」

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