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~疼き~
第13章 エピローグ
甘える様にそう言った。
蓮は嬉しそうに笑っている。
「じゃぁ、今日の午後にでも役所に行こう…」
「うん、分かった。ありがとう、蓮…」
二人はベッドから這い出ると着替えを済ませた。
そして、真夏の日が照り付ける外へと出た。
役所は田園都市線の市が尾から歩いて数分の所にあった。
役所に着くと二人は婚姻届けを受け取りに窓口に行った。
その婚姻届けにサインをし、押印した。
証人の欄には、ひとりは夏海の友人の浜崎香織になってもらうことにした。
もうひとりは蓮の同僚の人になってもらうことにしたのだ。
夏海は、蒼とは成し遂げられなかった結婚を蓮とすることができた。
これからは、本当の夫婦として蓮と一緒に生きてゆくだろう。
健やかなる時も、病める時も蓮とは一緒なのだ。
その数か月後、二人は写真館に行き、結婚写真を撮った。
夏海は純白のウェディングドレスを着た。
やはり、ウェディングドレスは白がいいと蓮は思っていた。
蓮はグレーのタキシード姿だった。
その写真は今でも二人が住むアパートのリビングのサイドボードの上に飾られている。
蒼の写真は思い出のあるアルバムへと収められた。
夏海は空の向こうに居る蒼に向かって軽く手を振った。
蒼が笑っているように感じた夏海だった。
(終わり)