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ガトーフレーズ
第2章 gâteau fraise 
「危なっかしくて見てられないです」

くっくっと笑われ、頬が赤くなるのを感じた。
莉乃は押していた自転車を彼に委ねた。

「……よろしくお願いします」

「よっしゃ!」 

春の風景のなかで、笑顔が光る。
ねぇ、これは、魔法なの?
何の前触れもなく、熱い塊が体中を駆け抜け、
胸に到達して弾けたのがわかった。

それは、ほんの刹那……75分の1秒の革命。


心臓の在りかがわからないくらいに、全身が鼓動に支配されて、サドルに捕まった指がくっついてしまったかのように動かなかった。
痺れて痛いくらいだったのに。
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