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ガトーフレーズ
第14章 savarin
右だけまっすぐ横へ伸びた腕が、
「愛してる」そう言ってくれている気がした。
莉乃はそこにぴったりと収まって、今夜はこのままずっと寝顔を見ていようと思った。
今、この瞬間を、とても愛しく思う。
不思議な感覚をうまく伝えられなくて、俊太の胸の鼓動に手のひらを乗せる。
温もりも、肌触りも、匂いも、息遣いも……。
────「今」ってなんて尊いんだろう。
時間が、流れないでくれたらいいのに。
流れるのなら、巻き戻し続けたい。
今、この瞬間を……。