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ガトーフレーズ
第6章 Opéra
「莉乃ちゃん、なんだか上の空だな、他の男のことでも考えてた?」
お水を注ぎにいくと、まわりに見えないように手を握られた。
この人はいつもこんな調子だ。
奥さんがいると知ったのも、つい最近のことだった。
蜜月はもう一年くらいになっていて、
莉乃は漠然とこの人に甘やかされながらずっと暮らしていくんだなと思い始めていたから、思っていたよりはるかにショックは大きかった。
唐突な始まりだったけど、連れ出された世界は、広くて、新鮮で、楽しかったから……。
ひさしぶりに、笑えた気がしたから……。
終わらせようと思っても、一人はさみしくて、誘われると断れずにいた。
悪びれない態度に、会っている間は罪悪感と後悔を感じずにすむのも、自分の弱さやずるさだと思いながら、贅沢と快楽に身を委ねてしまったのだ。
この熱い指を離せない……。
お水を注ぎにいくと、まわりに見えないように手を握られた。
この人はいつもこんな調子だ。
奥さんがいると知ったのも、つい最近のことだった。
蜜月はもう一年くらいになっていて、
莉乃は漠然とこの人に甘やかされながらずっと暮らしていくんだなと思い始めていたから、思っていたよりはるかにショックは大きかった。
唐突な始まりだったけど、連れ出された世界は、広くて、新鮮で、楽しかったから……。
ひさしぶりに、笑えた気がしたから……。
終わらせようと思っても、一人はさみしくて、誘われると断れずにいた。
悪びれない態度に、会っている間は罪悪感と後悔を感じずにすむのも、自分の弱さやずるさだと思いながら、贅沢と快楽に身を委ねてしまったのだ。
この熱い指を離せない……。