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A crescent moon
第14章 進退
「はい?」

私が顔を上げると、隣で繭がアッと声をあげた。

「ゆ、悠斗さんじゃないですか!」

「繭ちゃんこんばんは。久々だね。」

悠斗さんと呼ばれたその男の人は、隣の繭を見て優しく笑った。

少し白髪が入った黒髪をオールバックに流している。
おそらく私とはだいぶ年の離れた彼に、目尻のシワがより一層優しげな感じを出していた。

その横顔に、この人を見たことがある、そんな気がした。


「悠斗さん、最近こっちこないから〜みんな寂しがってるんですよ?」

「あはは、まぁ仕事が忙しくてね。それに…」

彼は一瞬暗い顔をして、ちらりと私を見た。

「あ、そう、、ですよね、すみません。」

繭がハッとしてから謝り、私と彼を交互に見た。

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