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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第2章 悲しき口笛
結局、この日も私は留置場で寝泊まりすることになった。

もう許してくれよ…

こんなローヤにいるのはイヤや…

この日もまた、寝れなかった…

サイアクだ…

7月31日の朝10時頃であった。

ここに来て3日目になるけど、男の子は今もビービービービービービービービービービー泣きよった。

職員たちの言い方が悪いのか…

それとも、男の子がうまく伝えることができないのか…

私のイライラが頂点に達したみたいだ。

男の子は、現地でどぎついいじめに遭ったのは本当なのか?

それよりも、男の子の持ち物に氏名・住所地が記載されていないことが原因で男の子の親御《おや》がどこで暮らしているのか…と言うのが分からない…

もうイヤや…

限界だ!!

時は、午後2時過ぎであった。

おんまく頭にきた私は、ショルダーバッグを持って生活安全課《セイアン》の部屋から出ようとした。

それを職員が両手を広げて止めたので、大ゲンカになった。

「ちょっと!!なんで両手を広げて止めるのですか!?」
「あの…まだいてください〜」
「出してください!!」
「あの…親御さんが来るまで待ってください〜」
「なんで待たないといかんのですか!?」
「ですから、金一封《シャレイ》を受けとるために…」
「オレはカネ目当てで人助けをしたのではないのですよ!!」
「わかってますよぅ~…でも…」
「なんで金一封《シャレイ》を受け取れと言うのですか!?」
「少しだけでいいからお願いします…」
「少しってどれくらいぞ!?」
「ですから少しですよ〜」
「少しってどれくらいぞ!?」
「ですから少しと言うたら少しですよ〜」
「ふざけるな警官《ボケ》!!」
「ボケとはなんだ!!」
「やかましい!!コネで愛媛県警《けんけい》に入った警官《ナマクラ》!!」
「ワシは巨人軍《ジャイアンツ》の捕手《キャッチャー》か!?」
「それを言うならヤマクラ!!」
「ほんなら、名物ハトポッポのクッキーか!?」
「それはカマクラ!!」
「ほんなら雪のほこらか!?」
「それもカマクラや!!」
「それなら、なんだと言いたいのだ!?」
「やかましい!!人のコネを使って愛媛県警《けんけい》に入った警官《コネじじい》!!」
「この野郎!!もういっぺん言うてみろ!!」

私と職員は、ヨレヨレになるまで大ゲンカを繰り広げた。
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