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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第55章 時代おくれ
時は、11月8日の正午過ぎであった。

またところ変わって、大阪中央区今橋《おおさかいまばし》にある大手生命保険会社の本社のエントランスホールにて…

経理事務服姿の奈保子《なおこ》さんは、ランチを摂るために外へ出ようとしていた。

この時、奈保子《なおこ》さんは一番に大好きな恋人・古沢敬幸《ふるさわたかゆき》さん(33歳)と再会した。

敬幸《たかゆき》さんは、昨日まで北海道の小さな都市《まち》にある支店で勤務していた。

この日は、急な呼び出しがあったので本社《ここ》に来ていた。

敬幸《たかゆき》さんは、うれしい声で奈保子《なおこ》さんに声をかけた。

「奈保子《なおこ》、奈保子《なおこ》〜」
「敬幸《たかゆき》さ〜ん〜」

奈保子《なおこ》さんは、うれしい表情で敬幸《たかゆき》さんのもとへかけて行った。

「敬幸《たかゆき》さん…うち…あんたに会いたかった…」
「ぼくも、奈保子《なおこ》に会いたかったよ〜」
「よかった…うれしい〜」

ふたりは、再会をよろこびあったあと外へ出かけた。

またところ変わって、職場のすぐ近くにある複合ビルの中にあるスタバにて…

テーブルの上には、ドリップコーヒーのグランデサイズとイングリッシュマフィンが載っているお皿が並んでいた。

奈保子《なおこ》さんと敬幸《たかゆき》さんは、向かい合って座っていた。

この時、敬幸《たかゆき》さんは奈保子《なおこ》さんに対してより強い決断を下すことを訣《き》めたと伝えた。

その後、敬幸《たかゆき》さんは濃いネイビーの小さな箱を奈保子《なおこ》さんに差し出しながら言うた。
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