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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第103章 願いごとのもち腐れ
時は、正午頃であった。

またところ変わって、大阪西成《にしなり》の萩の茶屋公園にて…

この日も、ゆらさんはおっちゃんと一緒に炊き出しの列に並んでいた。

ゆらさんは、炊き出しを受け取ったあとベンチに歩いて向かった。

この時であった。

公園のベンチに公則《まさのり》がひとりで座っていた。

公則《まさのり》は、柿の葉寿司でランチを摂っていた。

そこへ、炊き出しを持っているゆらさんがやって来た。

ゆらさんは、しみじみとした声で公則《まさのり》に言うた。

「ねえ。」
「なんや!!」
「そないに怒らんでもええやん。」

公則《まさのり》は、怒った声でゆらさんに言うた。

「おい!!その辺をうろつくな!!」
「なんでそないに怒るねん〜」
「ひとりでメシ喰いてぇんだよ!!」
「そななさびしいこと言わんといてーな〜…空いてる席に座らせてよ~」
「ほかへ行けや!!」
「せやかて、空いてる席はそこしかないもん〜」
「はぐいたらしいババァやのぉ!!」
「そないに怒らんでもええやん…座るよ~」

ゆらさんは、公則《まさのり》の横にずうずうしく座ったあと炊き出しを食べようとした。

この時、ゆらさんは公則《まさのり》が食べている柿の葉寿司をほしそうな目で見ていた。

公則《まさのり》は、怒った声でゆらさんに言うた。

「コラ!!」
「なんやねん〜」
「なんやねんじゃなかろがババァ!!」
「なんでそないにガーガー怒るねん〜」
「あんたがほしそうな顔をしていたから怒ってるのだよ!!」
「うち…食べたいもん〜」
「食べたいって、何をぞ!?」
「その柿の葉寿司が食べたいねん…ごはんがないから汁物が食べれん…」

思い切りブチ切れた公則《まさのり》は、ゆらさんに対してものすごく怒った声で言うた。

「わかった…ほんなら食え!!」
「おおきに。」
「その代わりに…これやれ!!」
「えっ?」
「ただで食わすとは言うてないぞ!!今月中にデリシャン株をマリンホールディングの石頭のクソジジイからかっぱらってこい!!」

思い切りブチ切れた公則《まさのり》は、ゆらさんにめんどい頼みを押し付けたあとその場から逃げ出した。

「待って〜な…どこへ行くねん!!」

ゆらさんは公則《まさのり》を呼びつづけたが、公則《まさのり》はスタコラサッサと逃走《トンズラ》した。
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