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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第104章 風の中
時は、1月20日の午前10時頃であった。

48時間に及ぶ大量収録を終えた私は、番組スタッフさんたち3人と一緒にA班のメンバーたちが待機している楽屋に帰った。

ところ変わって、楽屋にて…

「ああ、おかえりなさいませ…」

大番頭《おおばんと》はんは、スタジオから帰って来た私に声をかけたあと福也《さちや》さんにディレクターチェアを用意してほしいと頼んだ。

「福也《さちや》さん…福也《さちや》さん!!」
「はい?」
「『はい?』じゃおまへんねん!!ヨシタカさまがお帰りになられましたよ!!」
「えっ?」
「『えっ?』じゃなくて、いす!!」
「ああ、すみませんでした〜」

ものすごくあせった表情を浮かべている福也《さちや》さんは、大急ぎでディレクターチェアをセットした。

「ヨシタカさま、おまたせいたしました。」
「あっ、はい。」

私は、疲れた表情でディレクターチェアにこしかけた。

その後、ゆかさんが私のもとにやって来た。

ゆかさんは、かばんの中から水銀の血圧計を取り出したあと腕の曲り目に聴診器をあてた。

その上からリストバンドを巻き付けたあと、血圧測定を始めた。

(ペコンペコンペコンペコン…プシュー…)

リストバンドのエアーが抜けたあと、ゆかさんはチェックシートに血圧値と脈拍数を記入した。

それから2分後であった。

ゆかさんは、福也《さちや》さんに対して怒った声で言うた。

「福也《さちや》さん…福也《さちや》さん!!」
「えっ?」
「『えっ?』じゃなくて体温計…」
「えっ?」
「体温計!!」

ゆかさんにどやされた福也《さちや》さんは、ものすごくアタフタとした表情で言うた。

「すみません…忘れてました〜」
「コラ!!」
「すみません…今すぐにはかります…」
「早くしなさいよもう!!」
「え~と…」

福也《さちや》さんは、オムロンの電子体温計をそのまま入れようとしたのでゆかさんから『電源!!』と怒鳴られた。

「すみません〜」
「しょうがない子ねもう!!」

ものすごく怒った表情を浮かべているゆかさんは、福也《さちや》さんから電子体温計を取りあげた。

ゆかさんは、電子体温計の電源を入れたあと私に電子体温計を渡した。

その後、私は電子体温計を右わきにはさんだ。
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