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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第110章 穢(けが)れなき瞳
それから12時間後であった。

ところ変わって、城陽市久世《しないくぜ》にある建設工事現場にて…

意識をうしなったゆきさんは、棺おけに入れられた状態で穴の中に入れられた。

仲間の男たちは、棺おけを穴に入れたあと、近くにあったタンクローリー車の機械を操作した。

(ドボドボドボドボドボドボドボドボ…)

この時、タンクローリー車の後ろ側から大量のコンクリートが流し込まれた。

この時であった。

ゆきさんのダンナが機関銃を持って現場にやって来た。

「オドレぶっ殺してやる!!」

(ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!)

ゆきさんのダンナは、機関銃で仲間を撃ち殺したあとタンクローリー車の機械を鉄パイプで叩いてこわした。

その後、ゆきさんのダンナはゆきさんを助けるためにシャベルを使ってコンクリートを取り除こうとした。

しかし、ひとりの力ではどうすることもできなかった。

そこへ、ランチ休みを終えて現場に戻ってきた作業員たち20人がやって来た。

ゆきさんのダンナは、ものすごくおたついた声で作業員たちに対して『人が埋まっているから助けてくれ〜』とコンガンした。

それを聞いた作業員たちが大急ぎで消防を呼んだ。

それから20分後であった。

(ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン…)

工事現場に京都府警のパトカーが入った。

パトカーの後ろのドアがひらいたと同時に大番頭《おおばんと》はんといとが降りた。

「ゆき!!」
「ゆき!!」

この時、コンクリートまみれになっている棺おけが引き上げられた。

消防隊員が大急ぎで棺おけをこじ開けた。

その後、ゆきさんがボロボロに汚れた状態で救助された。

大番頭《おおばんと》はんといとは、大急ぎでゆきさんを抱きしめた。

「ゆき!!」
「ゆき!!」
「ううううううううううううううう…ゆき…おとーちゃんが悪かった…おとーちゃんが悪かった…ゆき!!」

大番頭《おおばんと》はんといとは、激しい声で泣き叫んだ。
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