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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第144章 痛み
時は、3月8日の朝10時頃であった。

またところ変わって、今治市矢田にある大学の構内にて…

英樹《ひでき》は、ことはを連れて大学《ここ》にやって来た。

英樹《ひでき》は、ことはが大学に行きたいのに行かせてやることができなかったのでなんとかしようと思っていた。

大学は楽しいぞ…

毎日、楽しい日々がつづくのだぞ…

一生の友ができるのだぞ…

…と言うて英樹《ひでき》はことはを押さえつけた。

英樹《ひでき》は、大学の人に対して『4月から行かせて下さい。』と頼んだ。

大学の人は『娘さんにぜひ来てほしい…』と答えた。

英樹《ひでき》は、大急ぎで入学のてつづきを取った。

それから数分後のことであった。

ことはは、ものすごく怒った表情で大学から出ていこうとした。

英樹《ひでき》は、ものすごくおたついた表情でことはに声をかけた。

「ことは、おいことは〜」
「なによ!!」
「おいことは、なにひとりで怒ってるのだよ?」
「おとーさん!!」
「なんだよぅ〜」
「なんで勝手なことをしたのよ!?」
「オレは、ことばが喜んでいる顔が見たいのだよ〜」
「アタシは、大学に行きたいと言うてないのよ!!」
「それじゃあ、どうするのだよ…ことはが大学にいかなかったら困るのは…」
「おとーさんだと言いたいのでしょ!!…ふざけるな!!あんたはドサイテーよ!!…ドサイテーよ!!」

ことはは、ものすごい血相で英樹《ひでき》を怒鳴りつけたあとその場から走って逃げ出した。

英樹《ひでき》は、にえきらない表情でことはの背中を見つめた。

またところ変わって、玉川町三反地《たまがわちょうさんたんち》にある支所(もとは役場)にて…

哲人《てつと》は、契約職員《ケーヤク》でショムのお仕事をしていた。

朝9時開始夕方4時終了で、お給料は毎月9万円である。

行き帰りは、大須伎《おおすぎ》から玉川支所までの間を特急バスで往復する…

毎日…家庭と支所《しょくば》を往復する暮らしを選んだ哲人《てつと》は、恋人を作って結婚したいと言う気持ちは頭になかった。

オレひとりがガマンがすればいい…

オレひとりがガマンすれば、みんながしあわせになれる…

…と哲人《てつと》はひとりつぶやきながら働いていた。
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