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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第186章 大阪ロンリネス
「ゆか。」
「おねえちゃん。」
「哲人《てつと》は、なんて言うたの?」
「かろうじて(血圧の最大値)110台を維持することはできたけど…ゆきは…体力がひどく弱っているみたいよ。」
「ゆきの体力がひどく弱っていると言うことは、再び(血圧の)上の値が90を下回るおそれがあると思う…」
「うちらもゆきのそばにいてあげたいわよ…せやけど、うちらはこの先もスケジュールがぎっしりと詰まっているから…どうにもできんねん…あの子は、どこのどこまでうちらを困らせる気よ!!」

ゆかさんは、ものすごくいらだった声で言うた。

ゆりさんも、ものすごくいらだった声で言うた。

「あの子は、ちいちゃい時からわがままばかりこねていたのよ…おとーちゃんとおとーちゃんは、なにからなにまであの子を最優先にしていたわ…うちら5人(ゆりさんとゆかさんとゆいさんとゆなさんとゆみさん)はあの子のためになにもかもガマンしたわよ…ゆきはフツーの小学校からフツーカのコーコーへ行った…神戸の女子大で華のキャンパスライフをオウカした…うちらは、超ガリ勉モードの日々を過ごした…うちとゆかは、アメリカ合衆国の超一流医大へ…ゆいは、超一流の女子医大…ゆなとゆみは、高麗大《コリョダイ》へ進学した…フツーの学校生活を送ったゆらとゆきに、うちら5人のつらさなんか分からないわよ!!…もうやめよ…こなな話をしたら…気が狂いそうになるわよ。」

ゆりさんは、そう言ったあと大きくため息をついた。

(ゴーッ…)

時は、午前10時半頃であった。

A班のメンバーたちが乗り込んだ専用機が大阪伊丹国際空港から飛び立った。

あした以降もスケジュールがぎっしりと詰まっているので休みは1日もない…
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