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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第204章 眠れぬ森の美女
(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)

時は、10月21日の午前9時半頃であった。

この日、台風から発した湿気が流入した関係で西日本は朝から雨が降っていた。

ゆきさんが入院している個室病棟《びょうしつ》に大番頭《おおばんと》はんとゆきさんがいた。

哲人《てつと》は、ゆきさんが着ていた肌着類を洗濯するためにコインランドリーヘ行った。

奈保子《なおこ》は、スタバヘパートに行った。

大番頭《おおばんと》はんは、休暇を取ってゆきさんの看病をすることを決めた。

大番頭《おおばんと》はんがしていたお仕事は、2〜3割はケントさんに…残り全部はゆかさんに引き継いだ。

イワマツの班ごとの活動自体は、通常とおりに進行していたので問題はない。

話は変わって…

さびしげな表情を浮かべているゆきさんは、大番頭《おおばんと》はんに声をかけた。

「おとうちゃん。」
「ゆき。」
「今日の今日まで…うちのわがままが原因で…おとうちゃんとおかあちゃんと…ゆりねーちゃんとゆかねーちゃんとゆいねーちゃんとゆなねーちゃんとゆみねーちゃんにぎょーさんメーワクかけてもうた…こなな悪い娘になったうちをこらえてーな〜」

大番頭《おおばんと》はんは、困った表情でゆきさんに言うた。

「過ぎた昔のことはもうええねん…ゆきは、身体《からだ》を治すことだけ考えたらええ!!」
「おとうちゃん…いたい…いたい…」

ゆきさんは、両手で頭を抱えながら『痛い…』と言うた。

大番頭《おおばんと》はんは、ゆきさんに声をかけた。

「ゆき、大丈夫か?」
「おとうちゃん…くすり…」
「ああ、テーブルの上にあるくすりか。」
「それ取って…」
「分かった…ゆき。」

大番頭《おおばんと》はんは、ゆきさんに鎮痛剤《セデス》を渡した。

薬をのんだゆきさんは、気持ちが落ち着いた。

その後、ゆきさんはスヤスヤと眠った

大番頭《おおばんと》はんは、スヤスヤと眠っているゆきさんを不安な表情で見つめながらつぶやいた。

ゆき…

おとうちゃんより先に逝《い》かんといて…

わしは、どないしたらええねん…

わしは…

わしは…
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