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ビッケとビッチ
第2章 11月19日日曜日午後5時~
 13

「あ、ん、ゆ、悠里さぁん…」
 わたし達はその流れのままに激しくキスをし、唇を、舌を貪り合っていく。

 流されちゃダメ…

 ううん、まだ、今の時期なら甘えちゃいなよ…

 ダメよ、堪えなきゃ…

 いや、今だけでも甘えなよ…

 心の中で相反する想いが激しく揺らぎ、せめぎ合う。

 そして手が自由になった和哉くんの反撃が始まる…

「は、ふぅ、ゆ、悠里さんの事はいっぱい感じさせちゃっていいんすよね?」
 唇を離してそう訊いてきた。

 うん…
 わたしは目で応える。

「よぉしっ」
 そう小さく叫び、わたしを下に寝かせてきたのだ。

「あ、ん…」
 そして外しかけていたブラウスのボタンを外し、脱がせてくる。

「あ…」
 すると和哉くんの動きが止まり…
 その視線が上から下へと降り、わたしを見てきたのだ。

「あ、うん、手術したのよ…」

 そう、わたしのお腹にはみぞおちから右脇腹の横と、おへそを挟み恥骨の上にかけて…
 約50㎝に縦に手術痕がある。

     V  V
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        x
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        Y

 ちなみにこんな感じだ…

「あ、え?」

「四年前と二年前に二回ガンに罹患したの…」

「あ、そ、そう…なんすか…」

「うん、でも、今は完治してるわ」

「あ、良かった」

「でもね、雨の降る夜は疼いて泣いてくるのよ…」

「え、な、泣く…」

「だから、そんな夜は…」

 キミを呼ぶからね…

「あ、は、はい」
 
 マズい、暗くなってしまった…

 な、何か目先を変えなくては…

「あっ、そうだ、コレ見て…」

「え?…」

「何かに見えない?」
 そう囁き、指をさす。

「え、うーん…」
 和哉くんはわたしの指した指先を見つめていく。

 そして…

「あっ、あれだ、ほ、北斗七星だ…」




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