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12歳年下の彼とクリスマスする話
第5章 12月12日の火曜日
ガチャガチャと…鍵を開ける音がして。
『巴さんッ…、すいませんでした…。
その…急いで来たんですけど……ッ』
彼の乱れた呼吸と、髪を見て。
本当に…仕事が終わって
直接…まっ直ぐに来てくれたんだって。
慌てた様子の彼を見ていたら…分かって。
嬉しかった…。
「港斗君…ッ!!」
キッチンから靴を脱いでいる
最中の彼が居る玄関に小走りに移動すると。
そのまま、ガバッと…彼に抱きついた。
『巴さ…ん…、
あの…、僕が来るの…
遅すぎちゃった感じですか?』
あの電話の時と比べて
私が普通にキッチンで
夕飯の支度をしていたから。
さっきの電話は何だったのかと。
自分が来るのが遅すぎたのかと、
申し訳なさそうに言って来て。
「ううん…違うの…、港斗君。
来てくれて…嬉しい…の。
会いたいって思ってたから」
『……巴…さん…ッ…、
巴さんが…会いたいって思ってくれるなら。
僕は…毎日でも…構いませんよ?
もう…、一緒に…住んじゃえばって…
流石にそれは…、気が早い…って…』
スッと…巴が…、港斗の
スーツの下に手を入れて来て。
自分の身体を寄せてくる。
「港斗…君…ッ…好き…」
『巴さん…、大丈夫ですか?
熱とか…、あるんじゃ…無いんですか?
それとも…今日は…、何かの
サービスデーか…何か…なんですか?
巴さんから電話もですし、
会いたいって言って貰えて…、
その上…、好き…だなんて…ッ…。
僕も…好きです、巴さん。大好きですよ』
こっちから彼に寄せた身体を
彼に今は抱きしめられて居て。
『巴さん…泣いて…たんですか?』
サラっと…巴の前髪を
港斗が手で除けると…。
ぽってりと…腫れている瞼に
そっと…優しく触れて来る。
『話しにくい…事…ですか…?』
「あの…ね…、今日……。
総務の人に…有休の消化して欲しいって
言われてね…午後にお休みを貰ったの。
それで…買い物に行ったんだけど。
そこに…あの人が…居たの…」
『あの人…って?どこのどの人ですか?』
こっちの足りない言葉を
補う様に…と港斗が話の続きを
巴に対して促して来て。
「雄介さんの…新しい彼女…、
ううん…彼女じゃなくて…奥さんになった人」