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僕の麗子さん
第10章 半年後

正樹はそう言うと笑ってくれるのだった。

富良野での時間はゆっくりと流れて行った。
今の生活は僕の心を癒してくれる。

僕の心は徐々にではあるが、明るい方向へと流れて行った。
でも、麗子さんの事を忘れる事はなかった。

叔父、正樹は富良野での生活で色んな事を教えてくれた。
僕は、生まれて初めて“薪割り”をした。

冬の富良野での生活では薪ストーブは必需品だ。
その薪ストーブにくべる薪も大切なのだ。

僕は無心で薪割をした。
太い薪を割るのは大変だったが、それも慣れてくると愉しいものに変わっていった。

来月は4月になる。
徐々に雪も降らなくなり、春の訪れる音がしてくる。

横浜に比べたら、富良野の4月もまだ寒い。
だが、確実に春はやってくる。

僕は、毎日麗子さんの絵を描いていた。
その絵を見る度に麗子さんを思い出す。

麗子さんは、今どうしているのだろう。
夫の聡と仲睦まじく生活しているのだろうか。

僕の事など忘れてしまったのだろうか。
それを思うと、僕の胸は張り裂けそうになる。

とても胸が苦しくなるのだ。
そんな時は、心療内科で処方してもらった精神安定剤を飲むようにしている。

薬を飲むと少し落ち着くことが出来た。
もう、二度と麗子さんとは会えないのだろうか。

僕の心は淋しさでいっぱいになった。

外では、また雪がチラチラと降り始めていた。



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