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2000文字の官能空間にようこそ
第10章 セックス・ファイル
 瞼を閉じていても自分に光が降り注いでいることがわかる。それにいい香りがしている。何かの花の香りなのであろうか。ひょっとしたらここは天国なのか。地獄に落とされるようなことはしてこなかった。だからここは天国に違いない。
 できればあと十年か二十年(二十年は欲張り過ぎか)生きていたかった。でもまぁ仕方がない、これが寿命というものだ。幸田一郎は光に照らされ、何かの香りに包まれてそう思った。
 意識はある。でも体が言うことを聞いてくれない。もし生きているとすれば、これが金縛りというものなのだろう。もし生きていればの話だが。
 それでも幸田はここがどこなのかを知りたかった。目を開けてみようと思った。手足の自由はまだないが、瞼はどうにかして開けられそうだ。
 目を開ける。光が見える。ただそれだけ。つまらないと思ったそのとき、幸田は光の中に誰かがいることが分かった。その誰かが幸田の顔を覗き込んでいる。幸田は誰かの正体を探るために焦点を合わせていった。
 見えた。金髪の短い髪に黒いうさ耳を付けた女が自分を見下ろしていた。見えたのはそれだけではない。その女は上半身裸だったのだ。巨乳だった。そしてそのたわわな乳房の形が見事だった。
「名前は?」
 突然その女が幸田にそう問いかけた。
「幸田です。幸田一郎です」
 幸田は自分の名前を名乗った。
「幸田? 一郎? 面倒だからジジイでいいよね」
「はい」
 ジジイと呼ばれても幸田が不快な気持ちになることはなかった。
「ジジイ、おっぱいしゃぶりたい?」
「はい」
 うさ耳女が幸田の顔の上に乳房を乗せた。幸田は夢中になってうさ耳女の両方の乳首を交互にしゃぶった。
「ジジイ、赤ちゃんみたいだね。慌てなくていいからさ、私の乳首チューチュー吸ってみな」
「……」
 幸田は音を立てて女の乳首を吸った。
「地球のジジイってまじエロいわ。おっぱいだけで簡単に落とせるんだから」
「……」
 地球という言葉に幸田は違和感を覚えたが、そんなことより目の前にあるうさ耳女の乳首の方が大事だった。六十を過ぎてこんな若い女の乳首をしゃぶったことなど一度もなかった。できることなら手を伸ばして大きな乳房を揉んでみたいのだが、残念ながら手足を自由に動かすことがまだできない。
 うさ耳女がつけているボディミストの香りと、うさ耳女の肌の匂いが絶妙に調合されて幸田の鼻孔を通った。
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