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【全話版】ストリート・キス
第7章 彼女ルールのおさらいと招かれてセックス
 彼女と始めて結ばれた感動の一夜が明けた次の日。会社で顔を合わせた彼女は、意味深な目線を送ってくるでもなく、いつもの彼女と何も変わらなかった。だから僕は逆に不安になった。だって、そうなってはいけない人とそうなって一線を超えてしまったのに、僕の日常はいつもどおりで僕だけが異常に彼女と同僚を意識しているのだ。
 もしかしてホテルに入るところを知り合いの誰かに目撃されていて、その情報がすでに広がっていて、みんな知っているのに知らない振りをしているのではないか?さらに僕なんかと決定的な一線を超えてしまったのを、実は彼女はものすごく後悔していて、無かったことことにはしたいのでは?きっとそうだ。そうに違いない。
 …終わった。僕の甘美なる禁断の恋よ。さらば。
「江田くん。持ってきたよ」
 昼休みに、はいと2枚のCDを彼女から渡された。ジャケットにはそれぞれ「バスティアンとバスティアンヌ」「大地の歌」とあった。
 僕との関係を清算したいという態度ではなかったので、ほっとしながらも、唐突に手渡されたCDの意味がわからない。しかし「何だでしたっけ?」などと軽々しく口走ってはいけないことをすでに僕は学習していた。
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