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12歳年下の彼と城崎温泉旅行する話
第8章 城崎温泉そぞろ歩き
タトゥーOKの温泉は
日本国内でも珍しいので
城崎温泉に外国人の観光客が
殺到してるって言うのは納得した。
まんだら湯を後にする頃には
辺りが暗くなり始めてて。
順番的には、次は御所の湯になるけど。
外湯めぐりも…体力使いますし。
お夕飯の後に再開しましょうと。
一旦、つばき乃に戻る事にした。
「さっき通った時に
気になってたお店に寄ってもいい?」
『じゃあ、その前に…僕が
気になってたお店に寄っても良いですか?』
まだ完全に陽は落ち切ってないから、
街灯の明かりで、川の水面に
街灯と柳の木が映し出されて。
その像がゆらゆらと揺らめく。
巴が…吸い寄せられる様に
川の石で出来ている欄干に手をついて
水面を覗き込むと…、
映し出された石造りの橋の姿の下に
優雅に泳ぐ大きな鯉の姿が見える。
ゆったりと泳ぐ鯉の姿と
水面に浮かぶ…風情のある景色。
薄っすらと暗くなって来た
城崎温泉街は来た時とはまた
違った顔を見せていた。
『良いですね』
「うん、この時間の城崎温泉も素敵」
『しっぽりとしたムードを
壊しちゃう感じで申し訳ないんですけど』
僕が行きたいのはあそこですと
指をさしているのは、
城崎の伝統工芸である
むぎわら細工のお土産を
扱っているお土産物屋さんで。
麦わらに彩色を施してあり
その色合いはとてもカラフルだ。
「麦わら細工」が
この城崎温泉で誕生したのは、
今からおよそ300年前の
江戸時代中期(享保の頃)に、
城崎に湯治に訪れていた。
因幡国(鳥取県)の半七という職人が、
竹笛や独楽などに色とりどりの麦わらを張り、
宿の店先で売って
宿費の足しにしたのが始まりと伝えられている。
このカラフルな伝統工芸は
日本でもこの城崎だけに伝わっていて、
今はその技術を受け継いでいるのは
5人程しか居ないのだと言う事だ。
城崎の温泉街の中には
この麦わら細工の資料館があって、
職人の技術が美しい
麦わら細工の数々を見学したり
自分で作ったりする体験もできる。
城崎麦わら細工伝承館があるが
16時まで…だったので、
また今度来た時は
見学したり体験したいな。