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12歳年下の彼と城崎温泉旅行する話
第3章 2024年1月1日

垂水区は神戸市の中でも
比較的被害が少なかった場所で。
被害が酷かった地域からの
避難区になっていたのが垂水区だ。

巴さんは…その当時の記憶が
フラッシュバックしたのか…、
顔色には血の気が無くて
…その口を閉ざしてしまったままだった。

どう声を掛けたらいいのかも
わからないままで、
シートベルトを外して、
自分の身体に巴の身体を
寄りかからせて抱きしめた。

それから…15分…
20分ぐらい…時間が経っただろうか…?

「ごめんね…?港斗君…
ありがとう…落ち着いたみたい…」

『巴さん…、あの…今日は…
うちの両親には…連絡しますから…』

今日はこのまま帰って
日を改めませんかと…
こっちから提案しようとしたら。
ううんと巴が首を左右に振って。
垂水を出る前に買った、
最中の入っている箱を持ちあげて見せて来て。

「ダメだよ…港斗君…、
もう、港斗君のお陰で
気持ちも、落ち着いたから大丈夫。
だってこれ…買っちゃったし…。
今日お邪魔するって…伝えてあるんだもん」

このコンビニからは車で10分も
掛からない距離に実家はあるので。
家のカーポートの下に車を駐めて。
車のトランクからキャリーバックを
彼が出して運んでくれると言うので。
私は手土産に持って来て居た、
化粧箱入りの剣菱と、
最中と、母が持たせてくれた
ケーニヒスクローネを持って。

玄関に向かう彼の後を付いて
階段を数段昇った。

鍵を出して彼が鍵を開けて
ガチャとドアを開くと。

『ただいま~』

インターフォンとかって思ったけど
彼の家なんだから自分で
開ければ良いんだもんね…。

「すいませ~ん、ごめんください」

彼は上がって下さいと言うけど、
やっぱり先に靴を脱ぐ前に
玄関でご挨拶をしてから
お家の上がらせて貰いたいと思うので。

その場で巴が靴を履いたままで立っていると。

廊下の奥のドアが開いて
その奥からワンピース姿の
女性が一人こちらに向かって来て。

弟さんが居るのは
前に引っ越しの時に出会ったので
知ってはいたのだけども。

『あら~ぁ、いらっしゃ~い』


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