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私立桐邦音楽大学附属中学校
第1章 はじまりのお話
今日も1時間も電車に乗って登校する。駅から歩いてやっと校門にさしかかる1人の男子生徒。

彼の名前は室賀弘斗(むろがひろと) 私立桐邦音楽大学附属中学校2年生だ。

「ううっ寒っ…」

年が明けて新春と呼ばれる季節ではあるが、まだまだ冬の寒さが厳しかった。

「おはよう、室賀。」

「角山か、おはよう。」

「今日は早いね。」

「よくわかったな。」

「こんな時間に登校なんて珍しいなと思ってねー。」

「へぇーもしかしてお前俺のこと好きなの?」

「はぁ…なわけないじゃん…」

(……微妙にショックなのだが…)

乗っけから弘斗にダメージを与えた彼女はクラスメイトの角山奏音(かどやまかのん)、かなりの美人で背も高く中学生にしては胸も大きい。しかも家がかなりの金持ちという噂だ。弘斗と同じヴァイオリン専攻の女生徒だ。

「冗談だよ、お前みたいなお嬢様が俺なんかと釣り合う訳ないしなー」

「そんなことはないと思うけど……」

「ははは……」

(そんなことない訳がない。俺なんか特待の学費免除を餌に入学した庶民とは訳が違う。)


「あっ、美月がいる。じゃあね室賀、先行くねー。」

「お、おう。」

角山が駈けていった先にいる少女も特待生の高遠美月(たかとうみづき)だ。小学生のように幼い座敷わらしのような女生徒だがああ見えてフルートの天才少女と呼ばれている。
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