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私立桐邦音楽大学附属中学校
第3章 恋心
チャイムが鳴り10分休みが終わろうとする頃、弘斗は自分の教室に戻った。女子更衣室だった教室は解放され日常に戻っており、少女特有の香りがほんのりと残るだけだった。

「お前、結局体育サボってるし。」

「あー、この寒いのにやってられるかよ。」

「女子を見てれば寒さなど忘れる!」

「ホント内藤は女子好きだなー」

直江と内藤と談笑する。

「で、お前体育の時間中どこにいたのよ?」

「あートイレ。」

「は?一時間もトイレでなにしてたんだよ。」

「え?!と…トイレなんだからう、ウンコに決まってるだろ!」

「長げーよ!あはははははは!」

「うっせ!」

弘斗の股間はすっかり治まっていた。


二時間目からの授業は真面目に受けた。弘斗は遅刻やサボリをする決して誉められるような生徒ではないが、学問に関しての成績はトップクラスだった。

授業を聞きつつ前方に座る角山奏音の後ろ姿を眺めるのが日課だった。しかし今日は小山田梨果を弘斗は見つめていた。



「室賀ー!さっきの授業のここ教えてよ。」

「またかよ角山。どれ見せてみ?」

「なんで解答が合わないのかわかんないんだよね。」

「これはな?この解をyとしてこっちの式に代入して……」


「ありがとう、ヤッパリさすがだよ室賀!」

「ホント角山は数学だめだよなー。」

数学終わりの休み時間の日常風景だ。いつも角山奏音は疑問を弘斗にぶつけていた。
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