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私立桐邦音楽大学附属中学校
第31章 小山田梨果の選択
教室に入るといつもギリギリの小山田梨果が既に登校していた。
その姿だけで弘斗は心がズキリとする。

「お、小山田おはよう。」

「室賀くん……おはよう。」

彼女は高遠とは逆に機嫌がよくなさそうだ。

(そりゃそっか……)

「昨日はごめん。」
「許さない。」

「えっ……」

即答だった。

「許してほしい?」

「あ、ああ……そりゃあ。」

腕と足を組む小山田。それによってブレザー越しの慎しましやかな胸の膨らみが確認でき、組まれた脚はスカートからチラリと太ももの奥を覗かせた。

(やっぱいいなぁー小山田……)

そんな事を考えていると彼女はとんでもない事を言い出した。

「じゃあ、なんでも言うこと聞いてくれる?」

「えっ!な、なんでも?!」

年相応に幼く可愛い顔をできるだけ狡猾に見せようと努力する小山田梨果。

「じゃなきゃ絶交ね。」

「究極の選択だな!」

「どうする?」

「なんでも言うこと聞きます……」

「ふふっ、なら許してあげる。」

「で、なにを……

キーンコーンカーンコーン♪

会話の途中で鳴り響く無情なウエストミンスターの鐘

「ホームルームはじめるぞー」

馬場教諭の顔色は良好そうだった。
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